Podiumでのフォトリアリスティックレンダリングの紹介
これは、リアリスティックレンダリングの作成法を解説する一連のコラムの初回です。各セクションは特定の外観やレンダリングに焦点を置き、非常に単純なシーンからリアリスティックイメージを作り出すことを主題としてそれぞれの外観の扱い方を解説します。
パート1: 概要
まだ読み続けているあなたはきっと、SketchUpモデルのよりリアリスティックなイメージの作成に興味を持っているだけでなく、集中力の持続時間も長い人ですね。詳細の説明が恩恵をもたらして解決する問題もありますが、絶対必要でない限りここではいかなる場合も細かい点は省くようにします。
これは、初心者から中級SketchUpユーザーを対象としています。SketchUpをある程度使い慣れていることを前提とし、グループやコンポーネントを使用したり、図面の尺度変更を行います。SketchUpでこれらの機能を使用していないのでしたら、ぜひ使い方を学ぶべきです。これらの機能は効果的なモデリング/レンダリングに欠かせない機能です。単純なモデルの作成からかなりリアリスティックなイメージのレンダリングまで、レンダリングの基本的な側面すべてに触れながら説明します。
そもそも、「フォトリアリスティック」レンダリングとは何でしょう? この質問は、それほど簡単には定義できません。端的に言えば、コンピュータで作られた写真のようなイメージとも定義できます。定義はまったく、とても難しいのです。マテリアルプロパティ、ジオメトリ、照明、カメラ効果の外観をいかに正確にシミュレーションするかに掛かっています。ここにすばらしい例がいくつかあります。
すばらしいレンダリングを作成する基本は、高品質テクスチャ、適切なレベルの詳細を使うこと、そして照明を正確に設定することです。
まずマテリアルを考えるなら、オブジェクトだけが、サーフェスの粗さ/なめらかさ、色、透過、反射といったわずかの基本プロパティを持っていると思ってください。あとで分かりますが、これは完全に正しいわけではありません。
ジオメトリでは、実際のオブジェクトには不規則な要素がたくさんあり、反りや亀裂、曲げ、ずれ等はすぐに分かります。他は非常に微妙で、注意深く見なければ、すぐには分からないかもしれません。これのもっとも分かりやすい例はエッジです。大半の人は、角(かど)が尖った押し出し形状としてこれらをモデリングします。たとえば、テーブルなら、上面がエッジに交差する場所には、ほぼ常にわずかな丸みがあります。ナイフの刃のような鋭いカーブではなく、小さな曲線です。下の図1をご覧ください。テーブルとティッシュボックスのどちらにも尖ったエッジはありません。あるのは、尖ったエッジではなく、柔らかいぼやけた、あるいはハイライトされたエッジです。
これは光が当たり、サーフェスを反射する流れを変更します。このような小さな詳細が顕著な違いを生み出すこともあります。これを正確にシミュレートするのは非常に複雑で時間も掛かりますが、詳細に力を入れなくてもすばらしい結果が得られるテクニックがあります。
照明には、直接と間接の2つの基本タイプがあります。直接照明は光源からまっすぐに光が届きます。間接照明は光がサーフェスで跳ね返り、近隣のサーフェスに届く時に影と照射を起こします。これは見つけられない場合もあります。下図は直接照明と間接照明の両方を示しています。
図3 間接照明を非常にうまく示しています。これは直接日光ではありませんが、空からの間接照明Bは建物の間にある深く狭い隙間で跳ね返り、壁や道、さらにはバルコニーの底面まで照らしています。
良いレンダリングを作成したいなら、直接照明と間接照明をバランスよく使用すべきです。
最後に、写真には、カメラによってもたらされる特徴があります。これは最終イメージに影響を及ぼします。レンズブラー、レンズ長、カメラフラッシュ等があります。
これらを正確にシミュレートするには、各要素のかなり詳細な知識が必要になり、このためたくさん勉強しなくてはなりません。けれども多くの人はこうした詳細な知識を持たずにフォトリアリスティックらしきイメージを作ってしまいます。どうしてそうなるのでしょう?
始めに提起した質問「そもそも、フォトリアリスティックレンダリングとは何でしょう」に戻りますが、短い回答は「コンピュータで作成したイメージ」でした。用語「フォトリアリスティック」は相対的なもので、一般には、一目でコンピュータで作成されたと分かるイメージではなく、コンピュータで作成されていているにもかかわらずあたかも本物のように見えるイメージを指すのに使用されます。うまい具合にSU Podium ホームページの動画がこれを非常に分かりやすく示しています。Podiumは、こうしたタイプのイメージをできる限りすばやく簡単に作成できるように作られています。
次のセクションでは、レンダリング用の単純なシーンの作成をテーマにし、上記で概説した原則を詳しく説明します。
パート2: テクスチャとマテリアル
これは、リアリスティックレンダリングの作成法を解説する一連のコラムの第2回です。各コラムは特定の外観やレンダリングに焦点を置き、非常に単純なシーンからリアリスティックイメージを作り出すことを主題としてそれぞれの外観の扱い方を解説します。
良いテクスチャは高品質レンダリングに不可欠です。概して言えば、テクスチャが良いほど、レンダリングの仕上がりは良くなります。テクスチャはシーン上のジオメトリの詳細不足を補います。これは、パフォーマンスを上げる一方、シーン全体の詳細量も増やすためにポリゴン数はできる限り少なく抑えなければならないコンピュータゲームでとりわけ明白です。
写真からインスピレーション得ることから始めます。写真のモデリングは技術を上げる最良の方法です。
下の写真は建築・設計ブログ「The Absolution」から引用しました。
家具のモデリングはそれ自体が演習になる上、基本の紹介では必要以上に複雑になるので、ここではまったく同じ複製はしないつもりです。
モデリングした基本構造を用意しました。ここからダウンロードできます。Podium Browserの無償セクション収められた標準ガラスマテリアルとSketchUpの標準ライブラリの水テクスチャを割り当てました。(Podium 設定ダイアログの自動マテリアルがオン)
テクスチャを加える前に、これがクレイオプションをオンにしてレンダリングする方法です。
1.0.5 exteriorデフォルトプリセットを使用し、クレイレンダリングでは明るすぎにレンダリングされがちなので、太陽の強度スライダと露出スライダを右に寄せました。今は、物理的な空はオフになっています。
現在十分にクローズアップされているので、テクスチャをいくつか追加することから始めます。では、Browserの無償セクションのテクスチャフォルダに入ったテクスチャを使いましょう。床には、しっくいテクスチャ(stucco_02)とコンクリートテクスチャ(concrete_09)、インテリアの床にはタイルテクスチャ(tiles_44)を適用しました。まず、テクスチャを上方向に少し尺度変更しなければなりません。500mmの尺度係数を使用しています。
しっくいとコンクリートにバンプを少し(値20)と、タイルにぼんやりとした反射 (D/T/R 90/0/10)を適用しました。
無償セクションのテクスチャはほとんど継ぎ目がないので最適です。しかしながら、パターンが顕著に表れています。では、これをレンダリングしてどのように映るか見てみましょう。まず、太陽の強度スライダと露出スライダをリセットし、Podium 設定のクレイをオフにしなければなりません。
タイルされているイメージのエッジは表示されておらず、シーンには継ぎ目はありませんが、光斑とテクスチャの暗さが作り出した繰り返しパターンが映っており、シーン上では本当の意味での「シームレス」ではありません。
これを直す方法は、イメージエディタでテクスチャを修正するか、もっと大きい、あるいは本当に継ぎ目のないテクスチャを使うかのどちらかしかありません。
語句「plaster texture」用に大きめのフィルタを使ってGoogleイメージ検索を行い、dextroductionでもっと適したイメージを見つけました。ハイパスフィルタとクローンブラシを使ってPhotoshopで小さな処理を行い、縦横の継ぎ目を除き、もっと説得力のあるイメージにしました。
元のイメージでは、水はもっと暗く表現されています。つまり、暗い色を反射しているか、サーフェスの下のプールタンクが暗いかのいずれかです。空の色やシーンの輝度を考慮すべきなのは、おそらく後者でしょう。
では、どのようにこれを修正できるか見てみましょう。水面を上方向に動かし、プールの内側のサーフェスのテクスチャを濃い色に付け替えます。プール用に人気のblue mosaic tilingを使ってみます。Podiumの無償テクスチャセクションにあったtiles_25を使用しています。では、このレンダリングがどのようになるかを見てみましょう。
この時点では、非常によい出来栄えです。壁や床のテクスチャは悪くありません。プールは結構良く映っています。シーン全体が元のイメージにだんだん近づいてきました。ここまでは効果的にテクスチャリングが進んでいます。
次のセクションでは、元のイメージにより近づくように照明を操作してみます。
パート3: 照明
これは、リアリスティックレンダリングの作成法を解説する一連のコラムの第3回です。コラムは各回、Podiumを使って非常に単純なシーンからリアリスティックイメージを作り出す特定の外観やレンダリングについてを特集しています。1つ前のセクションで言ったように、このチュートリアルは写真と区別できないようなイメージを作り出す方法についてでは決してなく、説得力のあるイメージを作り出す方法についてであり、どのようにそうしたレンダリングに近づけるかを学ぶことが目的です。
レンダリング(テクスチャ、照明、詳細)の原則はたやすく把握できますが、レンダリング用にシーンを設定する観点でこれが何を意味するかを正しく知るのはそれほど簡単ではありません。コラムでは、驚きで口がふさがらないほどリアリスティックなイメージは扱いません。そこまでリアルなイメージには、やはり相当の練習と細部に渡る注意が必要です。各コラムは、初心者や中級者の技能を、一般的なレンダリングに使えるレベル、さらにはより高い標準のリアリズムを求めて技術を伸ばす基礎となるレベルに引き上げることに焦点を置いています。
照明には直接と間接の2つの基本タイプがあります。直接照明は、まっすぐに光を投じる光源がある場所です。一般的に直接照明は、鋭く、よりはっきりとした影を作り出し、他の条件が同じなら、間接照明より明るくなります。
日光や照明装置が直接照明の例です。
間接光は何か他のものやオブジェクト上で跳ね返り(または反射し)ます。ほとんどのサーフェスは当たる光の比率を反射します。実際には、光をすべて吸収するサーフェスはそれほどありません。間接照明は、窓を通して差し込む日光によって放たれる光斑とは別に、部屋が完全には暗くない理由です。
図1(リスボン・ポルトコーヴォ宮殿 詳細情報は こちら) 下図は、直接照明と間接照明の非常に良い例です。
写真の左端に直接光の日光の光斑が映っています。ただし、左側の壁や天井は両方とも照らされており、天井には影があります。写真の左右両側の窓から差し込む光によって投じられた影がはっきりと表示されています。左側の光が右側の光より明らかに強いのが分かります。間接照明は一体どこから来ているのでしょう?
図 2はこれを分かりやすく示しています。
一般的に、日光は雲や大気、その他サーフェスを跳ね返します。
テストシーンに戻ると、シーンの大部分が間接光によって照らされているのが分かります。雲で覆われた空が表示されています。一般的に、雲で覆われた空は日光が雲によって拡散され、影は弱まりソフトに、光は強い方向性を持たなくなることを意味します。また、光は明るい色の壁によって跳ね返えされ、均等に照らされたシーンを作り出します。
テクスチャが適用されたテストモデルを取り込む(ここからダウンロード)場合は、影をオフにし、1.0.5 exterior_defaultプリセットでレンダリングします。結果は下図のようになります。
このイメージでもっとも顕著なのは、元のイメージと比べると暗すぎるという点です。物理的な空は、影が恩の場合しか動作しないことを忘れないでください。イメージ上に太陽がない場合、太陽の強度スライダと露出スライダは動作しません。
写真家が元のイメージに後処理を施して露出輝度やコントラストを調整したかどうか知らないので、「リアリスティック」なイメージになりそうな箇所(これは写真なので!)が実際に向上した可能性もあります。似たようなことをしてエディタでイメージを調整できます。
プレビューでMacのビルトインイメージエディタを使って30秒操作するだけで、下記のような結果が得られます。Windowsユーザー:MS Office 2010でイメージを開き、同じようなカラーフィルタを適用します。
かけ離れているわけではありませんが、さらに近づけるためのもっとも簡単な解決方法は照明と色のバランスの調節にもう少し時間を掛けることです。このままでは、チュートリアルになりません。
では、別のプリセットを使って、イメージがどのように変わるか見てみましょう。1.0.5 interior_defaultプリセットを使用してみます。これは直観に反しているようです。インテリアシーンにはインテリアプリセットが適しているのでは? 明る過ぎることはないか? インテリアプリセットは、全体の周囲光レベルを増幅します。これはインテリアに欠かせません。
下の図6は結果を示しています。
このイメージはエクステリアプリセットでレンダリングしたイメージよりはるかにはるかに明るいですが、露出過多ではありません。壁は黄色っぽく、元の写真とはあまり一致しません。これは修正できます。
Podiumの物理的な空なしでは、空に色がないことに気づくでしょう。Podiumの「物理的な空」ボックスにチェック印が付いていないことを確認しましょう。(影がオフになっていると何ら違いをもたらしませんが、次のステップではオフになっていなければなりません。)
SketchUpの背景を、SketchUpの「グラデーション空」の代わりに、ソリッド背景に設定します。ライトブルーを選んでレンダリングしてみましょう。
ラップトップで1分45秒にしては悪くない出来です。
空を作るために、透明pngオプションを使ってみましょう。Podiumの設定ダイアログで、出力タブに移り、pngフォーマットを選択後、「透過」ボックスにチェック印を付けます。
これは、背景空を効果的に「カットアウト」するので、Photoshopや、透明.pngに対応しているその他イメージエディタ上で背景を追加するのは簡単です。
allcgextures.com で見つけた空の高度を微調整して追加しました。図8は最終結果を示しています。
決して正確なコピーではありませんが、基本的にかなりリアルな近似です。作業を開始するソリッドベースはありますが、まだ作業は完了していないことを忘れないでください。
ここまででテクスチャと照明についてお話しました。次のセクションはジオメトリの詳細とモデルへの微調整追加、夜間シーンのレンダリングについてです。
ジオメトリ詳細
コラムシリーズ第4回は、モデリングを伴うリアリスティックレンダリング作成についてです。基本と照明、テクスチャ適用についてはすでに触れましたが、今回は非常に単純なシーンを基にして、モデル上の詳細レベルについて説明します。
前回までのコラムでもお断りした通り、このチュートリアルは決して、写真と区別がつかないようなレンダリングの作成についてではありません。これは難しく、より徹底したアプローチが必要な上、詳細にも深くこだわらなければなりません。これらのチュートリアルは、ユーザーがPodiumレンダリングを向上させるスキルの上達法を考え始めるように、説得力のあるイメージ作成に焦点を置いています。
もっとも単純なモデルから開始し、うまくテクスチャを適用し、正しく照明を設定すれば、実物のようにリアルな外観に仕上がるわけではないことは分かっているはずです。
Podium Browserを使えば、マテリアルの設定やレンダリング準備の整ったコンポーネントの追加が簡単になりますが、これはベースモデルの構築が必要なくなるという意味ではありません。
大量の詳細をすべてに加えるのと、どれにもほとんど詳細を加えないとの間でバランスを取ると言うほど知覚的なわけではありません。モデルに近いほど、詳細がもっと必要になります。逆に、オブジェクトがカメラから離れるほど詳細は少なくてすみます。3Dゲームエンジンには、さまざまなレベルの詳細があるコンポーネントがあります。詳細レベルはカメラからの距離に応じてオンオフを切り替えられます。葉や枝がすべて付いた完全詳細の樹木は、遠くになると3Dビルボードに変わります。
追加する詳細の量が分かるようになったら、達成するための正確な量について考えることも必要になります。よりリアルにするにはもっと詳細が必要になりますが、シーンのレンダリングに掛かる時間も長くなります。たいていのケースで通用する単純な法則は、必要な詳細だけを使用することです。
これが何かを理解するには少し時間が必要な上、必要な詳細は人によってさまざまです。一般的に、特定のタイプのシーンを特定の目的でレンダリングすることが多いので、一度満足のいくアプローチができたら、同じアプローチをどのシーンでも使ってしまいがちです。
このコラムでは、見落としがちな小さな工夫を多数紹介します。
下のイメージがこれから模写するシーンです。
これは、パート3で出来上がったシーンです。
すでにかなりリアリスティックですが、詳細をいくつか加えることから開始します。
まずは、プールを囲むエッジを丸くします。実際には、本当に尖ったエッジのサーフェスはそれほどありません。考えてみれば、通常尖ったエッジは、マテリアルが切断、あるいは削られた場合に生じます。木材を切断すると尖ったエッジができますが、尖ったエッジが裂けるのを防ぐために丸みをつけるのが常です。鋳造のアイテムのエッジはほぼ常に丸みがあります。たいていの鋳造工程は本当に尖ったエッジができるほど精巧ではないからです。鋳造ガラスは、人が怪我をしないようにエッジがなめらかに削られていることがよくあります。しっくいの壁も同様です。
レンダリングにおけるこれの重要なところは、わずかにカーブした角(かど)は微妙に異なる方法で光を反射することです。探そうとしなければ必ずしも気づくものではありませんが、エッジのハイライトの柔らかさやリアリズムがシーン全体に大きな違いをもたらすのは事実です。
下のイメージはブラウザに追加された新しいコンポーネントです(Ikea Hol テーブル)。
このコンポーネントは、単純に押し出された、穴のあるサーフェスとして作られました。コンポーネント全体にテクスチャが適用されています。外観に問題はありません。遠くから見れば、それほど精巧に作られていないのはわかりません。
この単純なコンポーネントのレンダリング時間は短くて済みますが、クローズアップビューはリアリスティックレンダリングとは言いかねます。
まずしなければならないことは、テクスチャ作業です。実際には、木目はコンポーネントの長い方の向きに沿っていることがほとんどです。ここで実物の写真をご覧ください。テーブルが、個々の木材を組み合わせて作られているのがはっきりと映っています。木目の向きをご覧ください。では、これを表現するようにコンポーネントを編集しましょう。
これで格段に良くなりました。レンダリング時間は長くなりますが、リアルさは確実に上がります。上面と角(かど)の尖ったエッジを見てください。これを柔らかくしましょう。Fredo社のRoundedgeプラグインを使用します。このプラグインはSketchUpフォーラムの「Plugins」セクションからダウンロードできます。これで、斜面とカーブしたエッジをすばやく簡単に追加できます。このプラグインは、Podiumとうまく連動し、もっともよく使われているプラグインの1つです。
コツは、ポリゴンを不必要に多く増やさないことです。縦方向の角(かど)に沿って0.5mmのエッジセグメント(結果的には面取り)を適用しています。蓋には、2つのセグメントからなる2mmの丸みを割り当てています。ジオメトリがなめらかになり、線がテクスチャとなじんでより自然な外観になりました。
上面の、木材が接合する箇所にほぞ接合も加えました。これのレンダリングが下図です。
レンダリング時間がまた長くなりましたが、コンポーネントの外観は格段に良くなりました。各要素はコンポーネントなので、Browser用にファイルサイズを抑えてあります。木目がもっとリアルに、また左右がもっと非対称になるように、羽根板部材にさらにバリエーションを加えたり、テクスチャを変更してコンポーネントをより改良することも可能です。蓋とほぞ接合の上エッジ上にかすかなハイライトがあるのが分かるはずです。テクスチャに少しバリエーションを加えれば、コンポーネントの外観はさらにリアルな印象になります。
ここまででテクスチャバリエーション、詳細、カーブしたエッジのポイントを紹介しました。では、テストシーンに戻ります。コンクリートは薄すぎると崩れがちなので通常、やや丸みを帯びたエッジがあり、「標準の」建設コンクリートは本当に尖ったエッジを維持するほどの強度はありません。
プールのエッジと屋根を囲む笠木を柔らかくしました。幅木を内側から、そしてドアのハンドルも追加します。
次なるステップは家具の追加です。同じようなアイテムを作成するのにちょっとだけ時間を割き、3DWでさぼてんのモデルを見つけ、これにテクスチャを適用して編集しました。花びらは、私が作成したダイナミックコンポーネントで、写真の花びらに似せて手作業で散らしました。
このシーンは、Podiumの物理的な空をオン、透明png背景オプションを選択し、QMCプリセットでレンダリングされました。悪くはありませんが、ドアの敷居や室内照明の量等がどことなくしっくりきません。
室内照明の改良には、開口部の作成(この写真では実施の建物のどこから、またどのように光が差し込んでいるか分からないため)とLEMの追加の2つの選択肢があります。最初の選択肢を選びました。右側の低い方の屋根の上の壁の辺りがやや露出し過ぎています。これを修正するため、屋根の色を暗くしました。これで光の跳ね返りが少なくなり、露出が減ります。編集したモデルはここからダウンロードできます。
良くなったのがはっきりと分かります。ただし、ポストプロセッシングでの空の追加は依然必要です。QMCプリセットはノイズや「木目」を取り込むので、ここで、輝度とコントラストの調節、イメージのサイズ変更も行います。
下図は最終イメージです。
カラーバランス、彩度、コントラストを調整し、境界線を加えました。
さらに高度なポストプロセッシングを施せば、イメージ品質は間違いなく上がります。ブレンドモード(レイヤの調節)を十分に理解していれば、どんなイメージでも大きく向上させることができます。私自身がポストプロセッシングはあまり得意ではないので、基本的な処理に留まりがちですが。
これは、決して元のシーンの正確なレプリカではありません。特に壁のテクスチャと床のテクスチャはもっときれいなのですが、イメージをよりリアリスティックに見せる方法を示しています。より良く見せるほど、向上作業は難しくなります。
ここまででレンダリングの基本をすべて紹介しました。ここでお話したヒントだけではPeterGuthrieやRonenBekermanにはなれませんが、レンダリングの品質向上を始めるのに大きく役立ちます。
最後のセクションでは、説得力のあるレンダリングの夜間バージョンの作成に挑戦します。
夜のレンダリング
Podiumを使ったリアリスティックレンダリングの作成についての連載コラムは今回が最終回です。これまでのコラムでは照明、テクスチャ、詳細レベルについて触れました。最終回の今回は夜間レンダリングについてです。
前回までのコラムをお読みになった方はご存知のように、最初に写真を複製することで詳細のあり方を学んできました。非常に基本的なシーンから始め、元の写真を注意深く観察し、模倣しながら徐々に詳細を加えました。
前回までのコラムでお話した通り、この一連のコラムでは「写真のような」リアリスティックイメージの作成法を教えているわけではありません。一連のコラムは、高品質のレンダリングを作成したい、そのためのレンダリングスキルを上げたいユーザーのための出発点です。
夜間レンダリングは多くのユーザーが悪戦苦闘するイメージです。では、夜間イメージを作成するシーンを取り込みましょう。
前回までのコラムでは、Browserからコンテンツを取り込みました。今回はBrowserを使わず、ほぼLEMの追加だけを行い、平面ビューにない光源からの間接照明をシミュレートします。
このチュートリアルは、夜間レンダリング設定の基本のみを説明していますが、さらなる設定を試すヒントも含まれています。
下図1はこれまでのチュートリアルで作成したものです。単純ですが、かなり説得力のある昼間レンダリングです。では、これを夜間イメージに変える操作を始めましょう。
夜間レンダリングでの最初のステップは、SketchUpで暗い背景色を設定することです。昼間の時間帯では、Podiumの物理的な空しか動作しないので、夜間レンダリングではSketchUpjの背景オプションに頼らなければなりません。最新バージョンのPodiumには、デフォルトで夜間レンダリング用の背景スタイルがいくつか添付されています。SketchUpのスタイルパレットを開くと、「Podium」とラベルされたカテゴリが表示されるはずです。
選択可能な夜間スタイルが多数あり、それぞれ明暗の度合いが異なります。図2と図3は、どのようにレンダリングされるかを示しています。これらのイメージには、太陽の輝度スライダと露出スライダを最小値に設定しました。
では、「Dark night」Podiumスタイルから始めましょう。これをスタイルダイアログのSketchUp背景として選択します。太陽をオフにし、1.0.5 exteriorプリセットでレンダリングします。
非常に暗く、シーンには照明がないので、得られる光は空からだけです。つまり真っ暗です。
「Night_1」スタイルを選択した場合、下の図3で分かるように、シーン上にいくつかの詳細を作成できます。背景がやや明るめなので、詳細を照らすイメージの周囲に光の跳ね返りが現れました。
シーン上に詳細がどれだけ表示されるかは、お使いのモニターのガンマ設定と画面上で表示されたイメージの角度によって変わります。奇妙に聞こえるかもしれませんが、モニタに面した周囲光をモニタが反射しすぎると、見る側がレンダリング上のコントラストや詳細を捉えにくくなります。プール、コーナーの植物、ガラス張りのスクリーンが見えるはずです。また、シーンの奥にある四角い窓もかすかに見えるでしょう。
では、光源をいくつか加えましょう。これを行うもっとも簡単な方法は、LEMを見えないところに配置して、シーンに映らない光源をシミュレートすることです。見えないところに強度40の、1つの大きなLEMを加えました。左右の壁の前に1つと、部屋の奥、天井の下に1つ配置しました。
また、いかなるビューでもエッジが映らないように非表示に設定しました。
LEMは、たいていオムニライトを使用するよりうまく行きます。LEMは柔らかくより微妙な光を発する上、ライト数も少なくてすみます。
これはLEMを使ったシーンレンダリングがどのようになるかを示しています。
満足のいく効果が得られるまで、LEMライトの強度をいろいろとためしてみると良いでしょう。
開口部から光が溢れ出て、壁や水面で跳ね返り、サボテンの後ろの壁に影を投影する様が分かります。このシーンでは、建物の中に配置されたたった4つのLEMだけで建物を照らしています。前庭には、光源は1つもありません。
これでシーンに光源ができたので、「dark night」スタイルに戻ってどのようにレンダリングされるかを見てみましょう。
空がずっと暗くなり、光の染み込みが減り、周囲光はすべて階段からになり、夜遅い前庭辺りがよりそれらしくなりました。
言うまでもなく、空はめったに完全な黒にはならないので、背景を加える方がよいでしょう。透明png出力オプションを使用し、ポストプロセッシングで背景を追加しましょう。
透明pngオプションは下の図6で示されたようなイメージを作り出します。白の「空」は実際には透明で、ページ背景が映ります。
イメージエディタに移り、夜空の写真を背景に貼り付ければこのようなイメージを作成できます。
これは、星空の背景が元の無地のSketchUp背景色と似ているので、まあまあの出来栄えです。
夜空が単純に濃い青か黒だと思う人も多いかもしれませんが、この夜空にはたくさんの美しさや微妙さが含まれています。また、レンダリングに適切にマッチするものを選ぶことが大変重要です。「Night 1」スタイルに戻り、透明pngオプションでレンダリングすると、異なる背景イメージを使って達成できるさまざまな効果を確認できます。
では、家具を戻し、照明装置をいくつか加えましょう。無償照明装置セクションからOptelma Taso3壁用照明を2つ追加しました。
下の1番目のイメージは、背景を追加し、ソフトオムニ用にデフォルトオプション(ソフトオムニを無効にする)を使用した全体イメージです。
では、ソフトオムニライトをオンにすると、レンダリングがどのように変わるかを見てみましょう。
2つめのイメージでは、全体の照明レベルがわずかに上がり、光の散らばりが広くなった他、光のフォールオブが柔らかくなったのが分かるでしょう。わずかにイメージの質が上がりましたが、レンダリング時間は3分5秒から4分34秒に増えました。家具がすべてなかったとしても、33秒の増加はかなりなものです。ただし、レンダリング速度はたとえ全く同じシーンであってもレンダリングするたびに毎回変わります。これは、バックグラウンドでどんな処理が行われているか、どのプログラムが動作しているかによります。このイメージでの品質向上はわずかですが、別の装置は別の結果を作り出します。
ソフトオムニライトをオンにするのはグローバル設定なので、このオプションを有効にする前に、いくつかの照明装置を使ってレンダリング速度をテストし、余分なレンダリング時間の価値が本当にあるかどうかを慎重に決めるべきです。
照明の追加、特に多数の反射サーフェスに関わる照明の追加はレンダリング時間を大幅に増長します。ここでは、昼間シーンのレンダリング時間が1~2分なのに比べ、夜間シーンでは4~5分になりました。
追加レンダリング時間は、お使いのハードウェアがさらに激しく稼動していることを意味します。照明や反射サーフェスが増えるほど、レンダリングエンジンが実行するべき計算処理の数が増えます。これにはCPU時間やRAMが必要になります。また、プリセットによりレンダリング時間も変わります。
「high」や「QMC」プリセットには、システムリソースがより必要になります。「high」プリセットは、アンチエイリアシング(エッジ検出とスムーシング)が改良されました。QMCプリセットは精度が上がりましたが、イメージにわずかな粗さやノイズが残ります。
不必要にレンダリング時間を増やしたくないのなら、影ギャップやケーブルといった非常に細かい詳細のあるイメージには「high」プリセット (1.0.5_exterior_high.pps と1.0.5_interior_high.pps)のみ使用すると良いでしょう。QMCプリセットは、標準プリセットが変な染みを作り出す場合や、より高い精度が必要で処理時間の長さにこだわらない場合に使用します。
下図は、ポストプロセッシングを少し施した最終イメージです。ここからシーンをダウンロードして、どのような設定が行われたかを確認できます。最終プールモデル(夜間レンダリング)のダウンロード
これには、フォトリアリスティックレンダリングに関する一連の紹介コラムが含まれています。
さまざまにPodiumレンダリング試して、お楽しみください。
ご質問、あるいは品質向上のアドバイスがほしい場合、また作品の紹介はフォーラムにご投稿ください!