スタジオレンダリングテクニック

SU Podium や ProWalker GPUカタログ、エディトリアル、自動車、製品レンダリング

このチュートリアルでは、Podium Browserの既製のリビングルームセットとSU Podiumまたは ProWalker GPUを使ってエディトリアルスタイルレンダリングを作成します。

このタイプのイメージは家具やライフスタイルカタログ(IKEAや Anthropologie等)で見かけるようなものとよく似ており、ここで説明するテクニックは自動車や製品レンダリングにも活用できます。

Podium Browser 「living room assembly 02」(ProWalker GPUでレンダリング)

見る限り、レンダリングは非常に単純です。家具、壁、地面だけです。ただし、実世界のフォトスタジオを模倣する方法でシーンを構築するのに時間を割けば、結果により細かい制御を得られ、今後のプロジェクトに活用したり、再利用できる用途の広いスタジオ装置になります。

用途とサンプル:

Ikeaのウェブサイトにあるエディトリアルリードの例

このタイプのイメージの目的は、被写体が白い「無限」背景に対して切り離されることが多い製品/設計フォトとはやや異なります。

エディトリアルスタイル撮影ではたいてい、多少の前後関係、つまり壁や床、窓、あるいはその製品が実世界のどこでどのように使われるかを示す備品が必要になります。

ほとんどの出版物は2つのスタイルを組み合わせて使います。IKEAのウェブサイトではエディトリアルリードを使って各セクションを固定した後に一連の製品写真が続きます(右図)。

スタイル参照とターゲット写真:

これらの写真はRove Conceptsインスピレーションブックからの抜粋で、このチュートリアルで作成するイメージのスタイルキーとなるものです。


1. 再利用を念頭に、一般的なスタジオを作成:

「インテリア写真スタジオ」のような言葉で検索すると、スタジオ撮影を設定する様々な方法を紹介する例がいくつも出てきます。

指向性ソフトボックス照明の小規模セット

製品用照明は、明るめのソフトボックスライトを2~3つ使って指向性の影を消去することがしばしばあります。

跳ね返る光の均等分配するために壁のくぼみに置かれた分離被写体

強いオーバーヘッド照明があり、壁/床の推移がなめらかな、暗めの自動車レイアウト

被写体によって違いはありますが、同じ基本的な特徴がほとんどのスタジオタイプに現れています。一般的なアイテムをいくつかモデリングしたら、必要に応じてあちこちに動かし、簡単に再設定できます。これは、このページの一番上のイメージに使用したスタジオです。実質的には、左端の例にオーバーヘッドソフトボックスを追加した、大規模バージョンです。

規模の大きい被写体用の一般的なスタジオ装置

  • 地面と背景パネル(グループは別) - それぞれを別々のグループにすることで後日使用する際のスタイル選択の幅が広がります。たとえば、このページの一番上のイメージでは、背景を1インチ半持ち上げて目立つ影の隙間を作りました。自動車や製品のレンダリングでは、バックドロップや床は通常90°曲線とブレンドして違和感のない変位を作り出します。
  • 側面と天井パネル - 任意の追加 これらは最終イメージでは表示されませんが、照明や反射を調整するのに役立ちます。最初の例では、これを使ってHDRI背景からの光を減らし、LEMパネルからの光を強調しています。これらは移動したり、非表示にしたり、また編集して周囲や空からセットに差し込む光を加減することができます。
    • 背景から発せられる光がなくなるので、黒いHDRIやSketchUpスタイル(Podium Dark Night等)を使用している場合、これらは必要ないことを憶えておいてください。
  • LEMパネルとバウンス/反射カード - 主な光源としてLEM(発光マテリアル)を使用します。どのイメージにも特有の要件がありますが、通常スタジオは、写真家が特定の箇所やエッジを強調表示したい場合に、指向性の強い「キー」ライトや指向性が弱い「フル」ライト、および小さい「リムライト」を使用します。
  • オーバーヘッドキーライト - 強いオーバーヘッド光源は自動車や製品レンダリングでは当たり前のことで、サーフェスに上から面する強いハイライトがほしい時やイメージに指向性のある影を入れたくない時に便利です。強いオーバーヘッドキーやバウンスパネルを配置するのは、自動車写真では非常によくあることです。

空間は囲むべきではない? 空は環境光源として動作するので、これは照明を注意深く制御しようとする現実の写真家にとっては難題になりかねません。SketchUpでは空全体を完全制御できますが、必要に応じてこれを使えます。ProWalker GPUだと、空シミュレーションにどんなHDRIイメージでも使用して、微妙な実世界の色調や色の変化を取り入れられるのでさらなるメリットになります。


2. 指向性ライトの付いた明るい照明:

Rove Conceptレファレンスで示されたよりきれいなハイキースタイルをマネしたいのなら、少し変更が必要になります。これらの写真はコントラストが小さく、左から投じられた影はとりたててシャープではありません。ですので、光源はおそらく大きく、広がっているはずです。これに近づけるには、少なくとも2通りの方法があります。

  1. スタジオの左側に背の高い窓をモデリングし、SketchUpの太陽/影をオンにし、Solar Northプラグインを使って任意の影角度を設定します。(これが望む見た目であるなら、)これではっきりとした影の輪郭/黒点が床に現れます。
  2. ソフトな印象にするために、大きなLEMパネルのままにします。カーブした大きな面をモデリングし、LEMマテリアルを適用しました。これはこのテクニックを使った実世界の照明からは逸脱しますが、思い描いたスタイルに近づきます。

スタジオの右側にあるLEM埋め込みライト、およびオーバーヘッドを削除することにしました。さらに、壁と天井パネルの色を白に変えて、シーンに差し込むバウンス光をより明るくしました。

下図は、カーブした大きなLEMにシーンの左から右に柔らかい影を投じさせて修正されたスタジオです。

そして、これが作成されたイメージです: これは、フォトリアルモード、10,000 サンプルを使ってProWalker GPUでレンダリングされました。LEMライトの他、HDRI背景を使って微細な色調グラデーションをレンダリングに加えます。

カーブしたLEMが柔らかい指向性の光を放ち、HDRIイメージはかすかなバラ色をもたらします。Podium Browser Bedroom Assembly 15(ProWalker、PRモード、10,000サンプルでレンダリング)

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3. 劇的なコントラストと目に見えない地平線を使った暗めの照明

さらなる一般的なスタジオテクニックは、明るく照らされた被写体を暗めの波形から離すことです。このイメージスタイルは、自動車画像では広く行き渡っており、家具や美術(彫刻等)写真撮影でも比較的普及しています。

下図は、ProWalkerでレンダリングしたPodium BrowserのMini Cooperモデルです。

背景が暗闇に入る一方、1つのオーバーヘッドライトが被写体と地面を照らしています。

作成方法:

自動車 スタジオイメージはたいていいつも、大きなオーバーヘッドソフトボックスか反射物で照らされます。この例では、照明を徐々にフォールオフさせ、水平線が暗く、見えなくなるほど遠くにバックパネルを背景に向けて押し出しました。

また、より定型化した見ためにしたいなら、カーブしたバックドロップにわずかな光を落とすことも可能です。

レンダリング詳細:

  • ProWalker GPU
  • Photorealモード - 20,000サンプル
  • 背景: 強度0.6のHDRI
  • 上面 - 出力90に設定されたLEMによる光

スタジオモデルが低いキー、高いコントラストのイメージを作り出すためにもう一度配置しなおしました。これは、人工光源が1つしかない、おそらくもっともシンプルな設定です。

車は、ソフトボックスに差し込み、照明フォールオフを方向付けて的に絞るオーバーヘッドLEMによって照らされています。

スタジオモデル:

ご覧のように、スタジオ全体が、正面左が開いた暗い色の囲いに埋め込まれています。二重になっているからです。

  1. 被写体に、HDRI背景からかすかな光を当てたいのですが、ショットには背景イメージを映したくありません。

  2. スタジオを深い長方形の箱に配置することで、車がカメラの後ろから光を受けますが、光が裏壁に届く頃には黒になります。囲いなしでレンダリングすると、まったく違ったタイプのイメージになります。必ずしも悪くなるわけではありませんが、このプロジェクトでほしい見た目にはなりません。

  3. 床マテリアル - 少し磨いたコンクリートのようなテクスチャ付きの光沢のある見た目が必要でした。変わったテクスチャ品質なので、単純にPodium Browserの陶器マテリアルを選び、その後マテリアル設定を下図のように変更しました。また、SketchUpのマテリアルトレイでイメージをかなり暗くしました。

LEM ソフトボックス:

このイメージには、車を照らすLEMからの光と小さな地面がほしいと思いましたが、暗い部分にある壁とバックパネルは残します。オーバーヘッドLEMの周りにあるジオメトリは光を細いビームにまとめるのに使用される任意の形状(スタジオ写真撮影での「フラッグ」とみなされる光をブロック/方向転換するために作られた構造またはパネル)です。

メモ: ProWalkerでは、非常に高いLEM出力が必要ですが、Podiumでははるかに明るすぎます。Podiumで相当する強度はおそらく20~30です。

LEMソフトボックスの真上にある反射パネル自体が発光する光はありませんが、シーンに跳ね戻す間接光でイメージをわずかに照らします。

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5. 結論と要約

照明の位置を変更したり、別の背景スタイルを使ったり、別の備品や反射物を取り入れてスタジオシーンを設定したり、様々なイメージスタイルを作り出す方法は、数えきれないほどあります。

スタジオ写真撮影で使われる実世界でのアプローチ方法を勉強してからSketchUpやPodium/ProWalkerで可能な限り現実に近づくよう模倣することを強くお勧めします。ここでは、3つの例しかとりあげませんでしたが、近日中に少なくとも2つのイメージタイプを追加する予定です。ご質問がある方、またフィードバックを希望される方はどうぞお気軽にイメージをフォーラムに投稿してください。

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